ブックタイトルカテーテル関連尿路感染の予防のためのCDCガイドライン 2009|株式会社メディコン

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概要

カテーテル関連尿路感染の予防のためのCDCガイドライン 2009|株式会社メディコン

Ⅴ. 背景尿路感染症は最もよく見られるタイプの医療関連感染症であり、急性期施設から報告されている感染症の 30% 以上を占めている 19 。事実上、すべての医療関連 UTI が尿路での器具使用に起因している。カテーテル関連尿路感染 (CAUTI) は、罹患率、死亡率、病院コストの増加や、入院期間の延長と関係している 6-9 。更に、細菌尿が不要な抗菌薬の使用につながることがよくあり、導尿システムが多剤耐性菌の温床となったり、他の患者への伝播源となることが多くみられる 10、11 。定義尿道留置カテーテルは尿道を通して膀胱内に挿入して留置し、閉鎖式導尿システムに接続する導尿管である。患者によっては他の排尿方法が採用される場合もある。間欠導尿は、一定時間ごとに排尿するため、尿道を通して膀胱にカテーテルを短時間挿入する方法である。体外式カテーテルは、生殖器に装着して採尿バッグに接続する収尿器である。最も普及している体外式カテーテルはペニスに装着する柔軟なシース(コンドーム型カテーテル) である。恥骨上カテーテルは恥骨上の切開部を通して膀胱に外科的に挿入するものである。代替導尿方法に関連する UTI は器具関連と考えられているが、全米医療安全ネットワーク(NHSN) に報告されている CAUTI 発生率は、尿道留置カテーテルに関連する UTIのみに関係している。NHSN は最近 UTIサーベイランス定義基準を改定したが、変更点としては、無症候性細菌尿 (ASB) 基準の削除、症候性 UTI(SUTI) の定義基準の改善がある。また、カテーテル抜去後のフォローアップサーベイランスの期間も、他の器具関連感染症と合わせるため 7 日から 48 時間に短縮された。新しい UTI 基準 (2009 年 1 月発効 ) は「NHSN 患者安全マニュアル」(http://www.cdc.gov/nhsn/library/html) で確認できる。様々な研究で使用されている CAUTI の定義についての限界と不均一性は、CAUTI 関連文献においてエビデンスの質を評価する際に大きな問題を呈する。研究者はこれまでCAUTIアウトカムに関して様々な定義を使用してきた。それは、一定の濃度範囲の単純性細菌尿から、あまり一般的ではない細菌尿と各種徴候・症状の組み合わせによって定義される症候性感染にわたる。更に、CAUTI に関して CDC/NHSN 定義を使用している研究で、分析において SUTI と ASB を区別しているものはほとんどない 30 。CAUTI に使われる定義の不均一性のため、特定の介入に関してエビデンスの質が低下することがあり、メタ分析が妨げられることも少なくない。カテーテル留置患者の ASB の臨床的意義は確定されていない。ASB を有する患者の約75~90% が、感染を示唆する全身性炎症反応その他の徴候または症状を呈していない 6、31 。また、SUTI のほとんどの症例では 1 日以上前に細菌尿が先行することがなく、ASB のモニタリングと処置も SUTI の効果的な予防処置ではない 25 。ASB の処置は、臨床的に有益であることは証明されておらず、抗菌薬耐性微生物の選択に関係している。日本語訳24< 日本語訳 > Ⅴ. 背景