ブックタイトルカテーテル関連尿路感染の予防のためのCDCガイドライン 2009|株式会社メディコン

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概要

カテーテル関連尿路感染の予防のためのCDCガイドライン 2009|株式会社メディコン

疫学入院患者の 15~25% が短期で尿道カテーテルを留置されると考えられる 12、13 。多くの場合、カテーテルは不適切な適応のために留置され、また医療提供者は患者がカテーテルを留置していることを気付かず、その使用を不必要に長期化させてしまうことが多い14-16。2006 年に NHSN に報告している急性期施設においては、ICU 区域と非 ICU 区域を合わせた平均尿道カテーテル使用率は、0.23~0.91 尿道カテーテル日 / 患者日であった 17 。報告は少ないが、比率が最も高かったのは外傷 ICU で、最も低かったのは内科 / 外科の入院病棟であった。長期尿道留置カテーテル使用の普及率は不明である。米国の長期ケア施設入所者における尿道カテーテル使用の使用率は 5% 台で、常に約 5 万人いるということになる 18 。連邦政府により療養所の質改善処置が義務化されたためと考えられるが、この数字は減少傾向にあると見られる。しかし、高度看護施設に転所した患者の尿道カテーテル使用率が高いことから、急性期施設が転所前に不要なカテーテルを抜去する取り組みを更に徹底しなければならないと言える 18 。尿道カテーテル装着患者の UTI 報告率には大きなばらつきがある。NHSN に参加する急性期施設からの全米データ(2006 年 ) によると、合同平均 CAUTI 率は 1000カテーテル日につき 3.1 ~ 71.5 例に及ぶ 17 。最も高い CAUTI 率は熱傷 ICU でみられ、内科入院病棟と神経外科 ICU が続いた。ただ、これらは報告部門の中では最も数が少なかった。一方、最も低かったのは内科 / 外科 ICU であった。CAUTI による罹患率と死亡率は他の HAI と比べて比較的低いと考えられるが、尿道カテーテルの高い使用率は、感染症数の累積増加につながり、延いては感染性合併症や死亡を招く。米国の病院を対象とした広範な調査に基づく、2002 年の HAI の年間発生率と死亡率の推計では、尿路感染が他の HAI よりも高い感染症数 (> 560,000 例 ) を示し、UTI 起因性の死亡数は 13,000 例を超える ( 死亡率 2.3%) と推計された 19 。また、細菌尿症例の 5% 足らずが菌血症を発生させる一方、CAUTI はそれに引き続く血流感染症の主因であり、院内感染性菌血症の約 17% が尿源に由来し、関連死亡率は約 10 % である 20 。療養所環境では、菌血症の最も一般的な原因は UTI であり、その大多数がカテーテルに関係している 21 。CAUTI の推定 17~69% は推奨する感染管理対策で予防できる。つまり、CAUTI に関連する感染症数と死亡数を最大で年間 380,000 例と 9,000 例それぞれ防げる可能性がある 22 。病因と微生物学CAUTI を引き起こす微生物の発生源は、尿道、直腸、膣での保菌を通じての内因性であるのが一般的であるが、汚染された医療従事者の手指や器材などを通した外因性であることもある。病原性微生物の尿路への侵入ルートはカテーテルの外腔面ルートまたは内腔面ルートであり、尿道周囲粘膜でカテーテルの外腔移動か、汚染された採尿バッグまたはカテーテル- 導尿チューブ接続部からカテーテルの内腔移動により侵入する。CAUTI の病因における各ルートの相対的な寄与はあまりわかっていない。1960 年代に滅< 日本語訳 > Ⅴ. 背景25