ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

9.中心静脈栄養における専用ルーメンの使用に関する勧告は行うことができない。未解決問題10.不要になった血管内留置カテーテルは速やかに抜去する[69-72]。カテゴリーIA11.無菌操作の徹底が確保できないとき(医療上の緊急時におけるカテーテルの挿入)、カテーテルをできる限り速やかに(48時間以内)交換する[37, 73?76]。カテゴリーIB背景カテーテルの留置部位は、その後のカテーテル由来感染と静脈炎のリスクに影響する。カテーテル感染リスクに対する部位の影響は、血栓性静脈炎リスクと局所的な皮膚常在菌叢の密度に部分的に関係がある。成人患者同様、小児患者でも末梢静脈カテーテルを使用すると、静脈炎、輸液の血管外遊出、カテーテル感染を合併するおそれがある[243]。カテーテルの場所、持続静注用脂肪乳剤を含有する中心静脈栄養輸液の点滴、カテーテル挿入前のICU収容期間はいずれも、小児患者の静脈炎リスクを増加させている。しかし、成人のリスクとは対照的に、小児の静脈炎リスクはカテーテル留置期間では増加していない[243, 244]。カテーテル挿入部位の皮膚常在菌叢の密度はCRBSIの主要なリスク因子である。頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈で留置されたカテーテルに関する感染率を十分に比較した試験はまだ1件もないが、後向き観察研究では、内頸静脈に挿入したカテーテルのほうが、鎖骨下静脈に挿入したものと比べて、コロニー形成やCRBSIのリスクが高くなる場合が多い[37?47]。類似所見は、後向き研究1件で新生児においても確認されている[245]。大腿カテーテルは、成人患者で使用するとき鎖骨下や内頸部位と比べてコロニー形成率が高いことが示されているが、複数の研究においてCLABSI率でも高いことが示されている[40, 45?47, 50, 51, 246]。また大腿カテーテルは、深部静脈血栓症についても内頸静脈カテーテルや鎖骨下カテーテルよりもリスクが高いことから、可能であれば使用を回避すべきである[48?50, 53, 247]。ある研究[38]では、大腿静脈に留置したカテーテルに関連した感染リスクが肥満患者で目立つことが判明している。成人患者とは対照的に、小児患者での研究では、大腿カテーテルが非大腿カテーテルと比べて機械的合併症の発生率が低く、また感染率については同等であると考えられることを示している[248?251]。したがって、成人患者では、カテーテル留置部位を決める際には他の因子(例:機械的合併症の可能性、鎖骨下静脈狭窄症のリスク、カテーテル挿入施行者の技術)を考慮しなければならないが、感染管理上は鎖骨下部位が望ましい。2件のメタ分析によると、CVC留置のために2次元超音波ガイドを使用した場合、機械的合併症が大幅に減少し、標準的なランドマーク留置法に比べて必須のカニューレ挿入の試行数とその失敗数も減っていることがわかった[60, 61]。エビデンスからは、ドップラー超音波ガイドよりも2次元超音波ガイドを使用するのが望ましいと言える[60]。さらに部位の選択にあたっては、患者固有の因子(例:既存のカテーテル、解剖学的奇形、出血傾向)、機械的合併症(例:出血、気胸)の相対リスク、ベッドサイド超音波装置の有無、カテーテル挿入者の経験、感染リスクのほか、患者の快適さ、カテーテルの安定性、無菌状態の維持も考慮しなければならない。カテーテルは開放創からできる限り距離を置いて挿入することが求められる。ある研究では、熱傷による開放創の近く(熱傷重複部分25 cm2 )に挿入したカテーテルは、離れたところで挿入したカテーテルに比べて、コロニー形成する確率が1.79倍で、菌血症と関連する確率が5.12倍であったことが示されている[252]。20