ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

背景透明な半透過性ポリウレタンドレッシングを使用すると、常時カテーテル部位を目視点検することができ、また標準的なガーゼとテープドレッシングほど頻繁に交換する必要がなくなる。末梢カテーテルでのドレッシング法に関する最大規模の対照試験では、末梢カテーテル事例およそ2,000件について透明ドレッシングの使用に関連する感染性罹患率が検討された[254]。この研究から得られたデータを見ると、透明ドレッシングを施したカテーテルでのコロニー形成率(5.7%)はガーゼを施したカテーテルでの割合(4.6%)とほぼ同等であり、カテーテル部位のコロニー形成や静脈炎の発生には臨床的に大差はないことがうかがえる。さらに、データは、血栓性静脈炎のリスクを増大させることなく透明ドレッシングを末梢静脈カテーテルの挿入期間、カテーテルの上に安全に貼付できることを示唆している[254]。透明ドレッシングの使用とガーゼドレッシングの使用についてCRBSIリスクを比較した研究を評価したメタ分析では[260]、CRBSIリスクにはグループ間で差は見られなかったことから、ドレッシングの選択は好みの問題と言えるかもしれない。もし血液がカテーテル挿入部位から滲出している場合はガーゼドレッシングが望ましい。また、ガーゼとテープを透明ドレッシングと比較した無作為化対照試験の体系的レビューでは、CRBSI、カテーテル先端コロニー形成または皮膚コロニー形成におけるドレッシングの種類による有意差は確認されなかった[261]。クロルヘキシジン含浸ドレッシングはCRBSIリスクを減らすのに使用されているが、ICU患者においてクロルヘキシジン含浸スポンジドレッシングと標準ドレッシングとを比較した多施設間無作為化対照試験で現在公表されている最大規模の試験では、感染のバックグラウンド率が低いときでもCRBSI率が低減されていることが示された。この研究では患者1,636人(カテーテル3,778本、28,931カテーテル日)の評価が行われた。クロルヘキシジン含浸ドレッシングは、主なCRBSI(10/1,953[0.5%]、1,000カテーテル日あたり0.6vs19/1,825[1.1%]、1,000カテーテル日あたり1.4;HR50.39[95%CI0.17~0.93];P=0.03)およびCRBSI(6/1,953カテーテル、1,000カテーテル日あたり0.40vs17/1,825カテーテル、1,000カテーテル日あたり1.3;HR 0.24[95%CI 0.09~0.65])の割合を低下させた[93]。小児140人を対象にしたポリウレタンとクロルヘキシジン含浸のドレッシングの無作為化対照研究では、BSIの統計上の差は示されなかったが、クロルヘキシジングループのほうがCVCコロニー形成の割合が低かった[98]。化学療法を受けている癌患者601人を対象にした研究では、CRBSIの発生率は標準ドレッシングと比較してクロルヘキシジンスポンジドレッシングを受けている患者で減っていた(P=0.016、RR 0.54、CI 0.31~0.94)[262]。無作為化対照試験8件のメタ分析では、クロルヘキシジン含浸スポンジが血管内および硬膜外カテーテルの穿刺部位コロニー形成の低減と関連していることが示されたが、CRBSIの有意な低減は示されなかった(2.2% vs 3.8%、OR 0.58、95%CI 0.29~1.14、P=0.11)[97]。小児でのクロルヘキシジン含浸スポンジの使用に関するデータは限られているものの、新生児705人を対象にした無作為化対照研究では、標準ドレッシングのグループと比較して、クロルヘキシジン含浸スポンジのグループの幼児ではコロニー形成のあったカテーテルが大幅に減少したが(15%対24%、RR 0.6、95%CI 0.5~0.9)、感染源を伴わないCRBSIまたはBSIの割合には差がないことを報告している。クロルヘキシジン含浸スポンジは超低出生体重児での限局性接触皮膚炎と関連しており、超低出生体重の新生児98人において、15人(15%)が限局性接触皮膚炎を発症している。ちなみに体重1,000g超の新生児237人では4人(1.5%)がこの反応を示している(P<0.0001)。生後8日未満でCVCを留置された在胎26週未満児は限局性接触皮膚炎のリスクが増加していた。一方、対照グループの乳児はこの局部的な反応を起こしていなかった[96]。5ハザード比26