ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

全身への抗菌薬の予防投与勧告血管内留置カテーテルのコロニー形成またはCRBSIを予防するために、カテーテルの挿入前や使用中に全身への抗菌薬の予防投与をルーチンに行わない[114]。カテゴリーIB背景複数の研究でカテーテル由来感染予防における全身への抗菌薬の予防投与の役割が調べられている。最新のメタ分析では腫瘍患者でこれらの研究をレビューしている[114]。4件の研究でカテーテル挿入前に予防薬としてグリコペプチドが使用されていたが、これらの研究が均一でないため、有効性について結論づけることができない。インターロイキン2で治療を受けた癌患者におけるカテーテル由来感染に対するリファンピンとノボビオシンの経口予防投与の効果を調べた研究で[280]、対象患者26人のうち9人(35%)が副作用または毒性のため抗菌薬の予防投与を中止したものの、CRBSIの低下が確認された。非腫瘍患者では、中心静脈栄養法のためにカテーテルを留置されている患者55人にカテーテル挿入前にバンコマイシン投与を行ったが、関連したメリットはなかった[281]。同様に、心血管外科患者で周術期に抗菌薬を予防投与しても、中心静脈カテーテルのコロニー形成を低減することはなかった[282]。臍帯静脈カテーテルを留置した新生児での抗菌薬の予防投与に関する最新のコクランレビューでは、無作為化試験から得られるエビデンスが不十分であるため、抗菌薬の予防使用の裏付けも反証もできないと結論づけている[283]。遅発性新生児敗血症は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌に起因する場合が多く、感染した中心静脈カテーテルによく由来すると考えられている。バンコマイシン(中心静脈栄養法による持続点滴もしくは間欠投与)またはプラセボで治療された新生児合計371人が対象となった5件の試験が行われている。バンコマイシンで治療された新生児のほうが、敗血症(RR 0.11、95%CI 0.05~0.24)とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌による敗血症(RR 0.33、95%CI 0.19~0.59)が少なかった[284]。しかし、死亡率と入院期間については2グループ間で有意差はなかった。データが不十分で、バンコマイシン耐性菌のリスクを評価することはできなかった。31