ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

抗菌薬/抗菌物質配合の軟膏勧告ポビドンヨード配合の軟膏またはバシトラシン/ネオマイシン/ポリミキシンB軟膏は、製造元の推奨による血液透析カテーテルの材料と相互作用しない場合に限り、カテーテル挿入後と各透析終了後にカテーテル穿刺部位に使用する[59, 115?119]。カテゴリーIB背景抗菌薬または抗菌物質配合の各種外用軟膏は、カテーテル挿入部位の汚染微生物数を減らし感染を予防する試みで利用されている。過去の数多くの研究では、主に末梢静脈カテーテルを調べたものだが、異なる結論が引き出されている[82, 285, 286]。さらに、抗真菌活性が限られている抗菌薬軟膏の使用は、カンジダ属によるコロニー形成や感染の増加を促す場合がある[89]。最近の研究は高リスク患者(特に血液透析患者)でこのアプローチについて調べている[116?119]。3件の無作為化対照試験では10%ポビドンヨードの使用が評価されており、コロニー形成、穿刺部位感染または血流感染の有意な減少が観察された[117?119]。薬効は黄色ブドウ球菌による鼻腔内コロニー形成のある被験者において最も顕著であった[117?119]。黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌者は、非保菌者と比べてCRBSIに罹る可能性が高い[287?289]。このため外用ムピロシン(強力な抗ブドウ球菌薬)の有用性が評価されることとなった。複数の研究で、ムピロシン軟膏をカテーテル挿入部位に塗るとCRBSIリスクが低減したことが示され[117,290?292]、他の研究では、ムピロシンを鼻腔内に塗ると同じような効果が現れたことが明らかにされた[288, 289, 293]。しかし、一部の施設でムピロシン耐性の急速な発生が確認されたことや[88,294, 295]、ムピロシンにはポリウレタン製カテーテルに対して劣化作用があることから[94, 95]、この処置に対する評価は下がっている。死亡率に対する有意な効果を示した唯一の研究では、カテーテル挿入部位でのバシトラシン/グラミシジン/ポリミキシンB軟膏の塗布が血液透析患者169人でプラセボと比較されている[296]。感染は、バシトラシン/グラミシジン/ポリミキシンBグループ(34 vs 12%、RR 0.35、95%CI 0.18~0.68)よりプラセボグループの患者で多く観察された。1,000カテーテル日あたりの感染症数(4.10対1.02、P<0.0001)と1,000カテーテル日あたりの菌血症数(2.48 vs 0.63、P=0.0004)も、プラセボグループで多かった。研究期間6カ月以内で、死亡数はプラセボグループが13件であったのに対して、バシトラシン/グラミシジン/ポリミキシンBグループ(P=0.004)は3件であった。このように、血液透析患者での研究1件でバシトラシン/グラミシジン/ポリミキシンB軟膏がアウトカムを改善するエビデンスが示されているが、他の患者集団に関しては類似データが存在しない[296]。なお、グラミシジン含有軟膏は米国では現在入手できない。32