ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

抗菌薬ロック法、抗菌薬カテーテルフラッシュ、カテーテルロック法勧告予防抗菌薬ロック液は、無菌操作が最適最大限に徹底されているにもかかわらず複数回CRBSIの既往歴を持つ長期カテーテル留置患者で使用する[120?138]。カテゴリーII背景CRBSIを予防するために、多種多様な抗菌薬や抗菌物質の溶液がカテーテルルーメンのフラッシュやロックを行うのに利用されている[120?138]。カテーテルロックは、抗菌薬溶液を使ってカテーテルルーメンを充填して、カテーテルが使用されていない間も留置できる技術である。様々な濃度の抗菌薬溶液が、中心静脈カテーテルを予防的にフラッシュしたりロックしたりするために、単独使用(特定微生物に向けられるとき)または併用(幅広い経験的治療範囲を得るため)されているが、これにはバンコマイシン、ゲンタミシン、シプロフロキサシン、ミノサイクリン、アミカシン、セファゾリン、セホタキシム、セフタジジムが含まれる。一方、抗菌物質にはアルコール、タウロリジン、クエン酸三ナトリウムが含まれる。(タウロリジンとクエン酸三ナトリウムの使用は米国では未承認)。これらの薬剤は通常、ヘパリンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)など抗凝固剤として働く化合物と配合される。上記研究の大部分は少人数の高リスク患者(例:血液透析患者、新生児、好中球減少性腫瘍患者)で行われた。大部分の研究がカテーテル由来の感染予防に関して抗菌薬フラッシュやロックの溶液の有用性を示しているが、抗菌薬と関連する副作用、毒性、アレルギー反応、耐性出現の可能性とのバランスをとる必要がある。使用された化合物が多種多様であること、研究対象の患者集団が均一でないこと、そして、研究の規模またはデザインに限界があることから、使用に関する一般勧告ができない。その上、市販が承認されているFDA認可製剤がなく、大部分の製剤は院内調剤部で調合されている。一部研究について以下に概要を示す。カテーテルフラッシュ液またはロック液に関する研究が血液透析患者で少なくとも10件行われている[218, 219, 221-228]。3件のメタ分析はいずれもカテーテルロック液が血液透析患者でCRBSIリスクを低減させることを示している[229-231]。最大規模の研究では、被験者291人が登録されて30%クエン酸三ナトリウムとヘパリンとの前向き無作為化比較が行われたが[223]、CRBSI率はカテーテルがクエン酸三ナトリウムでロックしたグループが有意に低く(4.1 BSI/1,000CVC日vs 1.1BSI/1,000CVC日、P<0.001)、カテーテルの血栓または閉塞についての有意差は認められなかった。しかし、急速注入した場合、濃縮クエン酸塩は深刻な低カルシウム血症、不整脈、死亡を招くことがある。血液透析者を対象にした2番目に大きな規模の研究では、ヘパリン単独使用の対照患者と比較して、セファゾリン、ゲンタミシン、ヘパリンを含むカテーテルロック液の作用が調べられている[135]。被験者120人のうち、CRBSI率は抗菌薬ロック液を受けている被験者で有意に低かった(0.44 BSI/1,000CVC日vs 3.12 BSI/1,000CVC日、P=0.03)[135]。血液透析患者を対象にした他の試験では、ミノサイクリン、ゲンタマイシン、EDTA、ヘパリン、タウロリジン、バンコマイシン、セフォタキシムが研究されている。小児腫瘍患者では研究は少なくとも5件行われている[120, 121, 124, 126, 127]。最大規模の試験は、被験者126人が登録された前向き無作為化二重盲検試験で、バンコマイシン/シプロフロキサシン/ヘパリン(VCH)と、バンコマイシン/ヘパリン(VH)と、ヘパリン(H)単独とを比較している[124]。CVC由来感染までの時間は、ヘパリン単独治療群と比べて、VCH治療群またはVH治療群で有意に長33