ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

抗凝固剤勧告一般患者集団でカテーテル由来感染リスクを減らすために抗凝固療法をルーチンに使用しない[139]。カテゴリーII背景挿入直後に、血管内留置カテーテルは、フィブリン、血漿タンパク質、細胞要素(血小板、赤血球など)からなるコンディショニングフィルムで覆われる[213, 302]。微生物は、コンディショニングフィルムと相互に作用して、カテーテルにコロニーを形成する[303]。中心静脈カテーテルの血栓症と感染との間には密接な関連がある[221, 304, 305]。このため、抗凝固剤はカテーテル血栓症を予防し、おそらく感染リスクを減らす狙いで使用されている。短期CVCを使用する患者でのヘパリン予防法(中心静脈栄養法で3U/ml、6時間または12時間ごとのフラッシュに対して5,000U、または2,500U低分子量ヘパリンの皮下投与)のメリットを評価したメタ分析によると、カテーテル由来中心静脈血栓のリスクがヘパリンの予防的な使用で低減することが確認されている[139]。しかし、CRBSI率の大幅な差異は認められなかった。より新しい前向き無作為化試験では、非トンネル型カテーテルを使用する患者204人にヘパリン(100U/kg/d)、生理食塩水(50ml/d)のいずれかを持続点滴したところ[306]、CRBSI率はヘパリン(2.5 BSI/1,000CVC日vs 6.4 BSI/1,000CVC日)を受けているグループで有意に低下した。大部分のヘパリン液は抗菌活性を持つ防腐剤を含んでいるため、CRBSI率の低下が血栓形成の減少によるのか、防腐剤によるのか、あるいはその両方によるものかは不明である。大部分の肺動脈カテーテル、臍帯カテーテル、中心静脈カテーテルは、ヘパリンコーティングデバイスとして提供されている。ヘパリンとベンズアルコニウムを接着したものが大半であり、抗菌活性[307]と抗血栓作用[308]を備えている。一方、ベンズアルコニウムがなくヘパリンをカテーテルに直接接着させたカテーテルもある[309]。研究では、ヘパリンコーティングカテーテルが血栓症とCRBSIのリスクを低減するものの[306,308?310]、クロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸カテーテルに比べて、カテーテルコロニー形成の低減には効果が薄いことが明らかにされている[311]。残念なことに、ヘパリン誘発性血小板減少症が起こりうることから、多くの臨床医がヘパリンを回避するようになっている[312]。代わって、クエン酸三ナトリウムが、抗凝固特性と抗菌特性の両方を備えることから、カテーテルロック液として推奨されている[133]。血液透析患者での前向き無作為化二重盲検試験では、透析間ヘパリン(5,000U/ml)の使用が、30%クエン酸三ナトリウムの使用と比較して、CRBSI率が有意に高いことが示された(4.1BSI/1,000CVC日vs 1.1BSI/1,000CVC日)[313]。ワーファリンは、CVC血栓形成を抑制し感染を低減する手段として評価されている[314?318]。長期CVC装着患者では、低用量ワーファリン(1mg/日)でカテーテル血栓の発生率が低減された[142,143]。しかし、血栓症の減少を確認した研究はほかになく、逆に、5-FUを受けている患者で有害な相互作用を発見した研究がある[319, 320]。データが限定されているため、低用量ワルファリンは癌患者で血栓形成リスクを低減するものの、感染性合併症を減らすことは示されていない。一部の研究では患者の20%以上はプロトロンビン時間が延び投薬量の調整が必要となった[321]。他の抗凝固剤(例:血液凝固因子Xa阻害剤または直接トロンビン阻害剤)については、カテーテル関連感染リスクの低減に関して十分に評価されていない。35