ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

監訳の言葉2011年4月、CDCは「血管内カテーテル由来感染の予防のためのガイドライン」を公開した。1996年に「血管内器具由来感染の予防のためのガイドライン」が公開されたとき、日本の医療施設は大きな衝撃をうけた。この頃より、中心静脈カテーテルの挿入時のマキシマル・バリアプリコーションが一般的に行われるようになり、閉鎖式システムが導入されるようになった。そして、輸液回路やカテーテルの交換頻度などについても新しい感染対策が実施されるようになった。血管内カテーテルの分野の進化はすさまじく、CDCは2002年にガイドラインを改訂し、更に2011年4月に再改訂したのである。今回のガイドラインでは、マキシマル・バリアプリコーションの使用範囲が拡大され、中心静脈カテーテルの挿入またはガイドワイヤでの交換のみならず、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)でも実施することが推奨された。また、輸液回路の交換頻度の延長化が明確になり、マンパワーとコストの削減が期待できそうである。その一方でいくつかの勧告が削除されており、「感染制御の目的でフィルターをルチーンに用いてはならない。カテゴリーIA」がその一つである。CDCの勧告が削除された場合、「削除されたことから判るように、CDCはフィルターが必要であるといっている」と180度の方向転換した対応をとることは不適切である。CDCは黙って勧告の方向を180度替えることはない。削除されても、ガイドラインの方向性は同じであると認識すべきと思われる。血管内カテーテルは日常的に用いている医療器材である。そして、それを適切に取り扱わなければ、カテーテル由来血流感染を引き起こすことになる。それ故、このガイドラインの臨床現場への影響は大きい。今回のガイドラインは背景情報も判りやすく記載しているので、感染対策チームは勧告部分のみを利用するのではなく、その背景を十分に理解して、ガイドラインを実践していただきたい。最後に、CDCガイドラインを迅速に翻訳されて日本の医療に貢献している株式会社メディコンに心から感謝の意を表すものである。平成23年6月吉日浜松医療センター矢野邦夫1