ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

カテーテル留置期間と1日あたりの感染確率との関係は確認されず(R=0.21、P>0.1)、CVCのルーチン交換がカテーテル由来感染の発生を低減しない見込みがあることを示唆している[250]。血管アクセス部位は新生児ではさらに制限される。最新のコクランデータベース・システマティックレビュー(CDSR)でまとめられた無作為化試験4件(n=368)では、経皮的中心静脈カテーテルと末梢血管カテーテルを通じた中心静脈栄養補給の効果が比較されている。経皮的に留置されたCVCに無作為抽出された新生児では痛みを伴う方法(静脈穿刺)はあまり必要とされず、BSIリスクの増加に関するエビデンスが認められなかった[332]。血栓形成によるCVC閉塞は新生児のCVC抜去に関する最も一般的な理由の1つである。カテーテル閉塞予防に様々な方法が試されているが、最近では、ある無作為化試験(n=201)において、プラセボ点滴と比較して、持続ヘパリン点滴(0.5U/kg/時)がカテーテル留置期間を効果的に延ばせるか否かが評価されている。カテーテル抜去を要するカテーテル閉塞の割合はヘパリングループのほうが低かった(6% vs 31%、P=0.001、NNT 6 =4)。CRBSI率の差を評価できるほどの症例数はなかったが、CRBSI率は同じであった。ヘパリン関連の抗体レベルはルーチン的に測定されなかった[333]。血液透析カテーテル血液透析のためのカテーテルの使用は、透析患者で菌血症を引き起こす最も一般的な因子である[334, 335]。透析カテーテルを使用する患者における菌血症の相対リスクは、AVシャントを造設した患者におけるリスクの7倍である[336]。AVシャントとグラフトは、関連する感染率が低いため、慢性腎不全患者では血液透析カテーテルよりも望ましい。一時的なアクセスが透析に必要な場合、カテーテルの留置期間が3週間を超えると予想されるのであれば、ICU環境であってもカフ付きカテーテルのほうがカフなしカテーテルより望ましい[59]。肺動脈カテーテル肺動脈カテーテルは、テフロンR製イントロデューサーを通して挿入されて、一般的に平均3日間留置される。大部分はヘパリンコーティングであり、カテーテル血栓症だけでなくカテーテルへの微生物付着も低減する[307]。メタ分析によると、肺動脈カテーテル留置に関連するCRBSI率が1,000カテーテル日あたり3.7で、薬剤が付加されていない非トンネル型CVCに関して認められた率(1,000カテーテル日あたり2.7)よりも多少高いことが示された[6, 45]。前向き研究からのデータは、著しいカテーテルコロニー形成とCRBSIのリスクが、留置が長引くほど高まることを示している。一般に、著しいカテーテルコロニー形成のリスクは留置4日後に高まり[75, 337, 338]、一方、CRBSIリスクは留置5~7日を超えると高まる[75, 84, 166]。イントロデューサーに由来する感染と肺動脈カテーテルに由来する感染とを区別する取り組みが必要である。イントロデューサーの著しいコロニー形成が、肺動脈カテーテルのそれよりも早く起こるが[337, 339]、定期的なカテーテル交換がCRBSIを減らす効果的な方法であることを示す研究はない[165, 327,339]。血行動態的モニタリングを継続的に必要となる患者では、肺動脈カテーテルは、7日間隔よりも短い頻度で交換する必要はない[339]。7日を超える留置が必要なカテーテルのルーチン交換に関して、特別な勧告は行うことはできない。肺動脈カテーテルは通常、カテーテルを覆うように包むことによって、カテーテルの接触汚染を防ぐ薄いプラスチック製スリーブで包装されている。カテーテル事例166件の研究では、このスリーブ内のカテーテルを留置するように無作為に割り付けられた患者のほうが、スリーブなしの肺動脈カテーテルを留置した患者よりもCRBSIリスクが低いことが示されている(P=0.002)[81]。6治療必要数38