ブックタイトル血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

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概要

血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011|株式会社メディコン

業務改善勧告エビデンスに基づく勧告指針の遵守を向上させるため、多方面にわたる戦略を“バンドル”にした病院独自または協同ベースの業務改善計画を採用する[15, 69, 70, 201?205]。カテゴリーIB背景臨床方針の決定者、医療費の支払者、患者安全の擁護者は、研究所見を日常業務に転換することの重要性を強調する。内的妥当性の高い研究デザインを使用し、外的妥当性を最適化する被験者集団を伴って、CRBSI予防法を厳格に評価することが依然必要である。医療行為が効果的であり経済効率性に優れていると判断されれば、次のステップとして、これらのエビデンスに基づく実践(EBP)を導入して、ルーチンの臨床ケアに組み込まれるようにしなければならない。残念ながら、米国病院におけるエビデンスに基づくCRBSI予防策の実施状況は最適とは言えないままである[361, 362]。米国の700病院以上を対象に2005年3月に行われた全米調査では、米国病院のおよそ4分の1が、2002年版ガイドラインで広く勧告されている2つの方策(中心ライン挿入時のマキシマル・バリアプリコーション、挿入部位の消毒薬としてのグルコン酸クロルヘキシジンの使用)[363]のいずれもルーチン的に使われていないことが示された[364]。米国病院のおよそ15%は、CVCのルーチン交換が必要なくなったことを示すエビデンスがあるにもかかわらず、感染予防策としてこれを行っていることを報告している[362, 364]。したがって、研究所見とエビデンスに基づく勧告を臨床行為に転換するために様々なアプローチが試みられている。過去数年間に発表されている多数の質改善研究では、医療従事者の教育、監査・フィードバック、組織改革、臨床リマインダーなど様々な方法が使用されている[8?11, 69, 70, 202,365?367]。教育的な介入では、手指衛生、挿入中のマキシマル・バリアプリコーションの使用、適切な挿入部位の選択、グルコン酸クロルヘキシジンを使用した適切な部位ケア、不要なカテーテルの速やかな抜去などに主眼を置いている。多数の前後比較研究と、同時対照グループを使っている研究[15, 70]がいくつか公表されているものの、CRBSIを予防するために質改善策を評価した無作為化対照試験は報告されていない[368]。大多数の前後比較研究では、質改善策の導入後にCRBSI率が統計上有意に低減したことが報告されている[368]。さらに、同時対照試験でも、対照グループと比較して介入グループでCRBSIが統計上有意に低減していることが確認されている[15, 70]。また、エビデンスに基づくガイドラインの遵守を改善するために複数の対策を一緒に“バンドル”する多面的なアプローチも採用されている[15, 69, 70]。そのような共同コホート研究(ミシガン州のICU 108部門が参加)[69]では、臨床医が使用する5つのEBP(手指衛生、マキシマル・バリアプリコーション、クロルヘキシジンによる消毒、大腿部位の回避、不要な中心静脈カテーテルの速やかな抜去)を対象とした。CRBSI予防について臨床医を教育することに加えて、使われた介入策として、1)中心静脈カテーテルカートに必要な物品すべてを収納、2)チェックリストによる適切な実践の遵守の徹底、3)非緊急状況での処置の停止(エビデンスに基づく実践が守られていない場合)、4)日常の患者ラウンド時に特定された不要な中心静脈カテーテルの速やかな抜去、5)CRBSI発症件数と全体的な割合に関する臨床チームへのフィードバック、そして、6)研究開始前のグルコン酸クロルヘキシジン製剤/溶液の確保に対する参加病院の最高経営責任者からの賛同などがあった。分割時系列デザインと多変量回帰を使って、研究者は、介入開始後およそ18カ月でCRBSI率が統計上有意46